NPO法人とは

◆NPO法人とは
NPOとはNon-Profit Organizationの略で、日本語に訳すと非営利組織の意味になります。主に高齢者の介護サービスや子育て支援、環境保護、国際協力、街おこしなどの公益活動を使命として行っている民間団体のことを指します。
非営利とは、剰余金を関係者に配当しないこと、つまり役員や社員(会員)などの構成員に金銭的利益をもたらさないということです。NPOとは無償のボラ ンティアだと思われてる人も多いようですが、金銭的利益をその団体が目的とする公益活動に還元することは、何ら問題ありません。サービスの対価として報酬 を受け取ったり、もちろんスタッフに給料を出してもかまいません。むしろ金銭的利益が得られるような団体でないと、組織の運営もままならず、ミッションの 達成ができなくなってしまいます。
NPO法人とは、それらNPO団体に対して与えられる法人格のことで、1998年に施行された特定非営利活動促進法によって設立された法人「特定非営利活動法人」のことをいいます。現在NPO法人は約1万8000団体で、行政や企業、大学などと連携する動きがでてくるなど活動の範囲も広がってきています。

◆NPO法人の必要条件
(1)団体のおこなう非営利事業が、NPO法で規定された以下の17分野の活動に当てはまることが必要です(複数可)。しかし、活動分野そのものに制限はなく、自由に活動することができます。

1
保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2
社会教育の推進を図る活動
3
まちづくりの推進を図る活動
4
文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
5
環境の保全を図る活動
6
災害救援活動
7
地域安全活動
8
人権の擁護又は平和の推進を図る活動
9
国際協力の活動
10
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11
子どもの健全育成を図る活動
12
情報化社会の発展を図る活動
13
科学技術の振興を図る活動
14
経済活動の活性化を図る活動
15
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
16
消費者の保護を図る活動
17
以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は
援助の活動

(2)営利を目的としないこと
(3)最低10人以上の会員(社員)を有すること
(4)最低理事3人、監事1人の役員を有すること
(5)会員(社員)の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと
(6)役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
(7)役員が成年被後見人、被保佐人などの欠格事由に該当していないこと
(8)各役員のうち、その配偶者もしくは三親等以内の親族が1人を超えて含まれない、または3分の1を超えて含まれていないこと
(9)宗教活動や政治活動を主な目的としないこと
(10)特定の公職の候補者もしくは公職者または政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと
(11)暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の統制の下にある団体でないこと、若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと

◆NPO法人化のメリット、デメリット
(1)法人化のメリット

1
NPO法を取得すれば、法人として所有や契約ができる。任意団体の場合は、代表者個人の名義で契約することになり、代表者の交代や死亡の時などに問題が起こりやすい。また、行政や企業は個人との契約を極力避ける傾向にあるため、協働して事業を行う場合に支障がでる。
2
財産や経営内容が公開されており、他団体や企業から信用を得られやすい。
3
行政からの委託事業や、企業からの寄附、助成金などが受けやすくなる。ある企業の社会貢献部の担当者は「寄附の要請がきた場合、同じ条件なら法人化している方が信用できるし、社内でも寄附を出すことへの了解が得られやすい」と話している。

(2)法人化のデメリット

1
毎年1回総会を開催しなければならない。
2
毎年度会計報告書や事業報告書を作成し、所轄庁に提出しなければならない。
3
課税対象の事業を行うと、法人住民税の免除はない。
4
課税事業を行った場合、利益が残れば法人税や事業税がかかる。
5
解散後の残った財産は、他の公益法人や自治体に寄附しなければならない。
6
本来はメリットであるが、中には情報公開を嫌う人もいる。

(3)法人化の判断

1
社会から広く支持を受け、多くの人や機関(行政、企業)との連携を必要とする事業を継続して行っていくのであれば、法人化が必要。
2
良いことをしようとする場合、志だけでなく、それを形にして実現するためには、その仕組みや資金が必要であり、法人化をそのための道具である。
3
職員を雇用するなら、法人化が必要。

◆NPO法人の財源と経費
NPOの運営において、資金の確保が最大の課題となっています。企業の場合は、サービスを提供することで、収入が増える仕組みになっています。それは営利が目的のため、対価が得られる見込みのないサービスは提供しないからです。
しかし、NPOではミッションを実現するために金銭的対価を得ることのできないサービスを提供することも、少なくありません。企業とは逆に、活動が大き くなればなるほど、経費が増大し、かつ収入が増えないということが多いのです。このような事情により、安定した資金の確保がNPOの運営において、最大の課題となっているのです。
NPOの収入源として以下のものがあります。
(1)会費
(2)寄付金
(3)補助金
(4)助成金
(5)事業受託収入
(6)自主事業収入
NPOの場合は、さまざまな財源から資金提供を受けているということが、公益性が高いと判断される材料の一つとなっています。
一方、NPOの経費(支出)としては以下のものがあります。
(1)事業費
(2)管理費(人件費、通信費、旅費、家賃など)