設立記念シンポジウム 植田和弘氏による基調講演要旨

~ひらかた環境ネットワーク会議に期待する~

地域やコミュニティは、これを担ういい人・いい町・いい組織があって、環境保全都市が成り立ちます。フライブルク市(スイスとフランスの国境に近いドイツの町;人口約20万人)は、世紀の大実験として”脱自動車の社会”を目指しています。郊外までは車で来て、高齢者にも乗りやすい路面電車に乗り換え(パーク&ライド)、市の中心部は全く車をなくす、この方が商店街も活性化します。

原発設置反対を一つのキッカケに、未来のエネルギーを考えていく取り組みとして、太陽エネルギーだけで賄える実験住宅(ソーラーリージョン)を設置し、暮らしを変えて行くことを自発的に始めました。この背景にはグローバリゼーションがあります。

私が、ひらかた環境ネットワークに期待すること或いは重要なことと思うのは、“こういう環境保全都市を目指している”ということを、市民が言えることです。

日本の各地は、地域産業が空洞化のしんどい状況になっていますが、逆に、地域でどういう産業を盛り立て、若い人の働く場を見つけ、育てていくかが大事になっています。地域は、人が育ち誇りに思えるところであって欲しい。分権化、グローバル化は、むしろ地域の大切さを高めています。また具体的内容を考えた際、”協働”は不可欠です。

ごみの問題でも、昔は大量の有害ごみの処理は行政の仕事でしたが、今では行政だけでは出来ず、多様な主体の取り組みと協力が不可欠となっています。

再使用やリサイクルが、作るときから生活の中に入っている循環型社会や、環境対策と同時に交通対策も合わせた、政策の統合化が必要です。

行政内部も同じでどのように関わっていくか、日本は省庁のタテ社会で苦手の分野ですが、横につなぐことが大事です。一番良い作り方は、地域で取りまとめる事で、地域力を高めるためにネットワークが出来たといえます。
イタリアを20年間研究しているパットナムは、北と南では市民のもっている力(伝統・コミュニティでの解決能力)に違いがあると指摘しています。

信頼・規範・ネットワークの3つがどの程度蓄積されているか、行政のパフォーマンスと関わりあるパワーに反映しています。多くの人が情報を持てる体験の積み重ねが信頼となり、ネットワークで参加の場つくりをし、市民・事業者・行政の三者がそれぞれの関心を、互いの議論を通じて、良い枚方を作ろうという信頼関係が出来、地域のパフォーマンスが変わります。地域・コミュニティが力を持つと、文化的快適さとは何かを見直し、新しい生活スタイルを作り出す、それが枚方の新しい伝統となります。

ネットワークの創造性(町つくり)が必要で、中核的組織としての発展が大事です。